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第1話 ミーナ12歳 1/2


 ――これは今からもう、8年前へと遡った話となる。
 
 
 葉月島はもうすぐで凍えるような冬が終わり、春がやって来る。

(はーるが来ーたー、はーるが来ーたー♪ どーこーにー来たー♪ やーまに来ーた♪ さーとに来ーた♪ おれにもー来たあああああ♪)

 昨日買いたてのふかふかの羽毛布団の中、目を覚ましたリンクの脳内に一足早く春の歌が流れていた。

 その原因は……。

 布団から覗く白猫の耳。
 さらさらとした毛質の、ライドブラウンのおかっぱ頭。
 ちょっと布団をめくれば、無防備な寝顔とピンク色の首輪がお目見えする。

「朝やでー、ミーナ」

 ホワイトキャットのミーナを飼い始めたのは、つい昨日のこと。
 モンスター狩の人間たちに追われ、大暴れしていたミーナ。
 親友のリュウのところのブラックキャットのキラが何を言ったのか、ミーナはリンクのペットとなることになった。

 理由あってずぶ濡れになった身体を拭くために一旦マンションに戻ったあと、ミーナにピンク色の首輪と好きな服を買ってやって、高級レストランのフルコースを堪能して、たくさんのビールとふかふかの羽毛布団を買って帰宅。
 さんざん飲んで酔っ払って、リンクとミーナは一緒に羽毛布団に倒れて眠った。

 ミーナが手の甲で瞼を擦る。

「…みぃ……?」

 ミーナの愛らしいグリーンの瞳が、リンクの顔を見上げた。

「おはよう、ミーナ」

 幼さの残るリンクの笑顔。

(悪くない)

 そう、ミーナは思う。

「……ガキっぽいな、わたしの飼い主は」

「あっ、コラ」と、リンクが口を尖らせた。「朝起きたら、まずは『おはよう』って言うんやで? ほら、言ってみい」

 ミーナが戸惑ったのち、リンクから目を逸らして呟くように言った。

「…ぉ…は…ょぅ……」

「……。まあ、ええか。よく出来ました」

 リンクに頭を撫でられ、少しだけミーナの頬が染まる。

「あ、せや。風呂入りたいやろ? ちょっと待っててや」

 リンクがバスタブにお湯を出して戻ってくると、携帯電話が鳴った。

「ふにゃっ!?」

 と、ミーナがその音に驚いて小さく飛び跳ねた。

「大丈夫大丈夫、怖いもんやないから」そう言って笑ったあと、リンクは電話に出た。「はいはーい♪ ただいまごっつゴキゲンなリンクやけどー」

「キラだぞ」

「おう、キラか! 何、どうしたんー?」

「ミーナの様子はどうかと思ってな」

「どうって――」

「ミーナに代わってくれ」

 と、キラが言うので、リンクはミーナの白猫の耳に携帯電話を当ててやった。

「ミーナ? 私だ、黒いのだ。キラだ」

「キ、キラっ?」

 ミーナの声が裏返った。
 あたりをきょろきょろと見回す。

「ど、どこだっ? 来ているのかっ?」

「これは電話と言って、離れていても話すことができるものなのだ」

「ほ、ほお。そうなのか」

「それで、ミーナ。ペットとなってみて、どうだ? 悪くないか?」

「う、うむ。わ、悪くはない」

「そうか。ならば良かった。野生の頃とは違う生活だからな、困ったときは私に言うのだぞ? 助けられることならば、助けてやるぞ」

「おおっ。頼りになるぞー、キラー。さすが先輩ペットだぞーっ」

 と、目を輝かせてミーナ。
 この頃からである。
 ミーナが、キラの言動を全て正しいと思うようになったのは。

 ミーナとキラがあれやこれやと話している間にバスタブに湯が溜まり、リンクは湯を止めに行って戻ってきた。

「ミーナ、風呂溜まったで。昨日場所教えたから分かるやろ? 服は脱衣所にある洗濯機の中に入れときや」

 リンクがそう言うと、ミーナが携帯電話をリンクに渡してバスルームへと入って行った。
 そのあと、リンクはまだ切っていなかった携帯電話に耳をつけた。

「もしもし、キラ?」

「なあ、リンク」キラが言う。「昨日風呂に入るとき、ミーナ大丈夫だったか?」

「いや、今初めて入るんやけど…?」

「たぶん大暴れするぞ。私がそうだったし」

「へ? 大暴れって――」

 リンクの声を遮るように、ミーナの叫び声が響いてきた。

「ふぎゃあああああああああああああ!!」

 ミーナがバスルームから素っ裸で飛び出してきて、リンクも驚倒して叫ぶ。

「うっわあああああああああああああ!! ばっ、おま! せめてタオルっ! タオル巻けーーーっっ!!」

「きっ、貴様っ!!」ミーナがリンクを指差して言う。「わっ、わたしを煮て食う気だったのだな!?」

「はぁ!? なっ、何言ってんねんっ!!」

「ああああっ、た、助けてくれキラアァァァァァァ!!」

 と、リンクの手から携帯電話を引っつかんだミーナ。
 慌てて耳に携帯電話を押し当てる。

「キラ!? いるかキラ!?」

「いるぞ、ミーナ。落ち着け」

「わ、わわわたし煮て食われるぞっ! 食われるのだっ!!」

「落ち着け、ミーナ。それは風呂といってな、慣れれば気持ちの良いものなのだぞ」

「そ、そそそ、そうかっ。そうなのだなっ?」

「うむ。私も最初は怖かったが、リュウに抱っこしてもらって入ったから大丈夫だったぞ」

「そ、そ、そうかっ…」と、ミーナがリンクの顔を見上げた。「主に抱っこして入ってもらえば良いのだなっ? 初めての風呂というものはっ……」

 え?

 目をぱちぱちとしたリンク。
 みるみるうちに顔が赤くなっていく。

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第1話 ミーナ12歳 2/2


「ばっ、おまっ……! なっ、何言って……!!」

「よし、分かったぞキラ! 初めての風呂、がんばるぞ!」

 そう言い、携帯電話をベッドの上にぽーんと投げたミーナ。
 必死な様子で、リンクの腕を引く。

「リンク、一緒に風呂入ってくれっ!」

「あっ、あかんっ、あかんあかんあかんあかんあかん!! そんな12にもなって!!」

「こーわーいーのーだあああああっ!!」

「入ってみれば馴れるから! すぐ馴れるから! な!? 頼むから一匹で入ってやああああ!!」

 逃げ出すリンクの背に、ミーナがしがみ付く。

「いーやーだあああああああ!!」

「かっ、勘弁してえええええっ!!」

 リンクはベッド上の携帯電話を再び手に取り、半ばパニックになりながらリュウに電話をかけた。
 キラが出ると思ったのだが、聞こえてきたのはリュウの声だった。

「なんだよ、リンク」

「リュ、リュウ! ちょ、た、助けてっ! ふ、風呂っ、風呂一緒にって……!?」

「一緒に入ってやれよ」と、リュウはあっさりと言う。「ミーナの主だろ、おまえ」

「せっ、せやけどっ…せやけど……! おっ、女の子なんやで!?」

「俺だって女のキラと一緒に風呂入ってるぜ」

「おまえらはすでに大人の付き合いしてるからえーねん! おれは!? 一緒に風呂入れって……えええええ!?」

「なんだよ、リンク。おまえ、ガキ相手に興奮すんのかよ。変態め」

「ちっ、ちゃうわっ!!」

「じゃあ一緒に入ってやれよ。んなに狼狽してっと、本当に変態なんじゃねーかって逆に疑うっつーの。じゃーな」

「ちょっ、待っ――」

 待ってくれ!

 というリンクの願いなんてお構いなしに、リュウは容赦なく電話を切った。

(逆に変態かと疑われる…!? そ、そう言われるとそうかも……!?)

 動揺するリンクの背で、ミーナが泣き出す。

「ふみゃあああん! 怖いのだっ! こーわーいーのーだあああああ!!」

「な…泣くなやっ…! …わ…わかったから……」

 バスルームへと向かうリンクの手足が同時に動く。
 脱衣所に入って、リンクが腹に回っているミーナの腕をはがす。

「ほ、ほら。離してや。服脱げないやろっ……」

「う、うむ」

 ミーナが泣き止み、リンクから手を離して涙を拭った。

 リンクは服を脱いで、背にいるミーナにさらに背を向けさせてからキャラクター柄のトランクスを脱いだ。
 しっかりと腰にタオルを巻いてから言う。

「もうええで、こっち見て……」

 ミーナは振り返ると、急いでリンクの前に回った。
 必死な様子でリンクの首にしがみ付く。

「だっ……抱っこするのだっ! 抱っこ! お、落とすなよっ!?」

「わ、分かっとるっ……」

 リンクは言いながら、小さなミーナの身体が落ちないように左腕で抱き締めてやった。
 まだ子供でも、やっぱり女の子の柔らかさをリンクの胸元に感じた。

 リンクがバスタブに足を入れて、ミーナの足先が湯に触れる。

「みゃっ」

 と、ミーナがびくっとして足を折り曲げた。

「大丈夫やて、大丈夫」

 リンクはそう言って、ゆっくりと湯の中に入っていった。
 怯えたミーナの爪が肩や首に突き刺さる。

 はっきり言ってえらく痛いが、リンクは堪えて何ともないふりをし、ミーナを落ち着かせるように言ってやる。

「ほら、大丈夫や。怖くないやろ?」

 リンクがミーナの小さな肩などに湯をかけてやると、やがてミーナが落ち着いてきた。
 リンクにしがみ付いている腕の力が抜けていく。

 そのときになって、ミーナはようやく気付いた。
 自分の爪で、リンクの首や肩から血が出ているのを。

「あっ…!」

 ミーナの顔が狼狽し、リンクは笑いながら言う。

「なーに、これくらい平気やって。おれやて一流ハンターやから、これくらいの傷なんて――」

 えっ……?

 リンクは言葉を切った。
 首に、肩に、ミーナの舌を感じて。

「ちょ、ちょちょちょちょ……!?」

 リンクの顔が真っ赤に染まっていく。
 一方のミーナは、焦った様子で血の出ているリンクの首や肩を舐めている。

「ごっ、ごめんなさいっ…ごめんなさいなのっ……!」

「い、いやいやいやいやいやいや! い、いいいいいいからっ! いいからミーナっ…! 平気やからっ! なっ!? もう舐めないでええから! なっ!?」

 ていうか、やめてくれ!!

 リンクは慌ててミーナを引き剥がした。
 心臓がばくばくで爆発しそうだ。

「ミ、ミーナ!? ふ、風呂、も、もう慣れたか!? 慣れたやろ!?」

「うむ、もう大丈夫だぞ。それより傷――」

「えーーからっ!! もう舐めんでえーーーからっ!! ほ、ほなっ、おれ先に上がってるなっ!?」

 そう声を裏返して言って、立ち上がったリンク。

 ズルッ

 腰からタオルが落ちた。

「――!?」

「? リンク、何だソレ?」

「みっ、見ないでえええええええええええ!!!」

 ありがたいことに、ミーナは無事、次から一匹で入浴してくれるようになった。
 
 
 
 リンクがミーナを買い始めてから約2ヵ月半。
 ただいまリンクとミーナは、リュウ・キラと共に睦月島にいる。
 葉月ギルド長の別荘で寝泊りしているのだが、リュウとキラは2階にあるベッドで、リンクとミーナは屋根裏部屋で眠っている。

 現時点で21歳のリンクと12歳のミーナは『おやすみのチュー』を頬にする程度。
 リンクはそれ以上はする気ないし、考えていなかったのだが。

 この日の夜、ミーナが布団の中で突然こんなことを訊いてきた。

「なあ、リンク? あと数年したら、リュウとキラが特に夜にやっていることをわたしに教えてくれるのか?」

 つまり、夜の営みである。

「な……」暗闇の中、リンクは赤面した。「なんやねんっ、いきなりっ……!?」

「今日、リュウに言われたのだ。わたしもあと数年すれば教わるって」

「なっ…なにいってんねんっ、リュウの奴っ……!」

「教えてくれないのか?」

「えっ!?」リンクの声が裏返る。「いや、その……。お、おまえが20歳になったら考えるわっ……」

「まだまだではないかっ」ミーナの頬がむくれた。「リュウはそれが大人の愛情表現だと言っていた! わ、わたしだってあと数年すれば大人ではないかっ…!」

「お、おれからすれば子供なのっ! そ、それは本当に大人の行為なんやからなっ…!? やり方によっちゃ、お腹に赤ちゃんできんねんからなっ……!?」

「赤ちゃん」ミーナが鸚鵡返しに言った。「大人の行為をすると、赤ちゃんができるのか? 大人の行為ってどんなことをするのだ?」

「え…えと…、せやから……な?」

「うむ?」

「大人の行為とは……コ、コウノトリさんを一緒に呼ぶことや!」

「おお」ミーナが声を高くした。「そうか、コウノトリという鳥が、赤ちゃんを持ってきてくれるのか! リュウとキラは、いつも一緒にコウノトリの名を叫んで呼んでいるのだな! それが大人の行為なのだな!? ……あれ、でも」

 と、ミーナの疑問が続く。

「リュウとキラは毎晩コウノトリを呼んでいるのに、コウノトリは来ないのか?」

「えっ?」

「なあ、どうしてだ?」

「あ、あ、あれやな、きっと。窓閉まってて入ってこれなかったんやなっ」

「何。残念なことをするぞー」

「そ、それかコウノトリさんが忙しいんやなっ」

「ほお。そうか、コウノトリは色んな人に赤ちゃんを配って回らないといけないからなっ」

「そ、そうそう。あは、あははは」

 ミーナがコウノトリを知ったのは、このときだった。
 そしてこれを、ミーナは結婚するまで信じることになるのだった。
 
 
 
 
本館『NYAN☆PUNCH!』

第2話 ミーナのファーストキス 1/2



 睦月島から葉月島へと戻ってきて、リンクは師匠であるグレルと再会し、そのペットのミックスキャットであるレオンと出会った。

 リンクがレオンに殺されかけたとき、ミーナにとてつもない恐怖が襲った。

 リンクのその明るい笑顔が、優しい手が、なくなってしまったらどうしようと。
 その日の夜は、リンクが苦しむくらい胸に強くしがみついて眠った。
 それからキラがリュウに何かを買ってもらうと、とにかく同じものをほしがるミーナが故に、一般人からすればずっと裕福なリンクだが家計は火の車になることもしばしばで。
 春にタコ焼き売りをしたときに続いて、大食い大会に参加したこともあった。

 それで優勝した賞金で、ミーナは次の日キラと買い物にでかけた。
 何を買ってきたのかと思いきや。

「見てくれ、リンク!」

「ぶっ」

 そのときビールを飲んでいたリンクは、思わず吹き出した。

(そうか、そろそろ必要やったんか……)

 なんて思う。

「キラとお揃いのブラショーセットというやつだ!」

 ブラショーセット=ブラジャー&ショーツセット。
 恥ずかしげもなくニコニコと笑って、ミーナはそれらをリンクに見せている。

 それにしても。

「それ、つける意味あんのかいな」

 と思うほど、まだペッタンコのブラジャーで。
 ミーナがムッとした顔で言う。

「寄せれば谷間ができるかもとキラが言っていた! 駄目だったらパッド作戦があると言われた! わたしだって大人の女だぞっ!」

「いや、パッドででかくしたところでニセ乳やん…。大体、12のくせに大人の女も何もあるかいな……」

「ちなみにサイズはA65だと言われたぞ!」

「ペッタンコやん」

「キラはF65だそうだぞ!」

「でかっ」

「いつかわたしもFカップになるかっ?」

「知らんわっ」

「そうなればリンクなんてイチコロだと言われたのだが、イチコロとはどういう意味だ?」

「な……」

「でもCカップあれば良いのではないかと言われたのだが、そうなのかリンク?」

「ま、まあおれはそれくらいで……」

「Cカップあれば挟めるか? どうもリュウは挟みたがるらしいのだが、何を挟むのだ?」

「なっ、なんの話してんねん、おまえらはーーーーっ!!」

 と、リンクは首まで真っ赤になって突っ込まずにはいられない。

 ミーナが続ける。

「あ、それからリンク、キラから伝言だぞ」

「な、なんやねん」

「『初めてのニャンニャンまであと5年は我慢しろ』」

「ニャンニャンがニャンニャン言うなっ!」

「それから『ファーストキスは初潮を迎えてから希望』だそうだぞ」

 初潮。
 そうか、そうだった。
 女の子の場合、そういうものがあるんだった。

(って、初潮迎えた場合、おれが教えるんか!? それがどういう意味かとか、他いろいろ!? いや、待て――!)

 一瞬焦ったリンクだったが、はっとしてミーナに訊いた。

「お、おい、ミーナ? 初潮の話したってことは、キラから何か教わってきたんやろっ?」

「うむ。初潮とは『初めての股から流血』だと聞いたぞ」

「ちょ……」

 もっと他に説明ないのか、あのバカ黒猫は。

 顔が引きつるリンク。
 ミーナが続ける。

「それから、それが始まると大人になっていくのだと聞いた」

「おお、それなりに説明してるやん、キラの奴――」

「わたしも早く股から流血したいぞーっ」

「その言い方やめろや……」

「それで大人になったら」と、ミーナが少し頬を染めた。「唇にキスしてくれるかっ? キラの言った通り、してくれるかっ?」

「キ、キラの言った通りっていうか、単なるキラの希望やんっ……」

「してくれるかっ?」

 期待に胸を膨らませた様子で、リンクを見つめているミーナ。
 リンクまでどきどきとしてしまう。

「さ……されたいんか、おまえ」

「キラとリュウはいつもいつもしている。わたしだって、主のおまえとしてみたいぞっ……」

 そんなことを愛猫に言われて、嫌な気がするわけがない。
 だけど、リンクから見たらミーナはまだまだ子供で。

「と…とりあえず、もう一歩ミーナが大人になってから考えるわ」

 そう言ってこの場を逃れた。
 
 
 
 もう一歩大人になってから考える。

 リンクがそんなことを言ってから、早8ヶ月。
 その間にリンクとミーナの間に何があったわけでもないので、いきなり飛んでます。

 ただいま22歳のリンクと13歳のミーナは、リュウとキラの結婚式の帰り道を歩いていた。
 ミーナはキラから投げ渡されたブーケの香りをくんくんと嗅ぎながら、リンクに抱っこされている。

第2話 ミーナのファーストキス 2/2


「ものすごーく綺麗だったな、キラ!」

「ああ、せやな。ほんまに綺麗やった。キラがリュウを置いて逝かへんで、ほんまに良かったわ。ごっつ幸せそうやったなあ、リュウ」

 そう言って、親友の幸せに涙ぐんで微笑むリンク。
 ミーナがリンクの顔を覗き込んで訊く。

「リンクも、わたしと結婚したらリュウのように幸せになれるか?」

「え……」リンクは少し赤面してミーナの顔を見た。「け……結婚っ?」

「しない……のか?」と、ミーナの顔が沈む。「ブーケを受け取った者が、次に結婚できるのだと聞いた。……それなのに、わたしリンクと結婚できないのか?」

「いや、その――」

「わたしは、一生リンクのペットで終わってしまうのかっ?」

 ミーナのグリーンの瞳に、涙が滲む。
 リンクは慌てて言った。

「い、いやっ、そんなことないでっ、ミーナっ……! せやなっ……、うーん。おまえが今のキラと同じくらい…うーん……、20歳になったとき、結婚しよなっ?」

「ほ、本当かリンクっ……?」

「ああ」そう言ってリンクは笑った。「おまえがそうしたいっていうならな。おまえがそれで良いなら、おれはごっつい幸せ者やで」

「そうだな、リンクもてないしな」

「おま……」

 リンク、苦笑。

「それで」と、ミーナが続ける。「唇にキスはまだか?」

「…も、もう一歩大人になってからって言ったやろっ……?」

「むぅ。早く大人になりたいぞ」

 そう言ってミーナは、リンクの頬にキスした。
 
 
 
 それから5ヶ月。

 リンクとミーナは、城と見間違うような屋敷の前に目を丸くして立っていた。
 リュウが建てた屋敷である。

「でっか……」

 リンクの顔が引きつる。

「すごいぞーっ」

 と、ミーナが瞳を輝かせ、玄関へと走っていった。
 大きな玄関のドアを押し開ける。
「邪魔するぞーっ! ミーナだぞーっ!」

「こらこら、静かにせい、ミーナ。シュウが寝てたらどうす――」

 リンクは目を見開いて言葉を切った。
 その後、屋敷中に絶叫を響かせる。

「ぎっ……ぎゃあああああああああああああああっ!!」

 屋敷の奥から歩いて出迎えてくれたのは、リュウ・キラの息子である生後約1ヶ月のシュウで。
 そのあとに、リュウとキラが姿を見せた。

「うるせーぞ、リンク」

「ちょ、ちょ、ちょ! リュ、リュウ! シュ、シュウ、な、何で歩いて……!?」

「俺も最初はびびったが……。師匠に聞いたところ、人間とモンスターのハーフは生後1ヶ月もすりゃあ、歩くらしーぜ」

「純粋な猫モンスターだったら、生まれて3日で歩くのだがな」と、キラが続いた。「なかなか歩かないから心配したぞ」

「なんだ、まだ歩いていなかったのか、シュウ」ミーナがそう言って、やってきたシュウを抱っこした。「わたしとリンクの子も、1ヶ月にならないと歩かないということか」

「え」

 と、リュウがぱちぱちと瞬きをした。
 リンクを見る。

「何、リンク。おまえ、ミーナともう子作りしてんの?」

「してへんわっ!」

「でもまだ出来ねーだろ?」

「してへんて!」

「で、1日に何回?」

「してへんっちゅーに!!」

 リュウとリンクが騒がしくやり取りしている中。

 キラがはっとして、ミーナの腕からシュウを下ろした。
 ミーナの手を引っ張って、数え切れないほどある部屋の一室に入っていく。

 それから少しして、ミーナが笑顔で走り戻ってきた。

「リンクーーーーーーーーーーっっっ!!」と、まだリュウとやり取りしていたリンクの首に、ミーナが飛びつく。「わたし大人になったぞおおおおおおおおおおおおお!!」

「へ?」

 リンクは眉を寄せた。
 いつの間にかミーナのスカートが変わっている。

 あとから歩いて戻ってきたキラに、リュウが訊く。

「今夜は赤飯か?」

「うむ」

 と、笑顔のキラ。

(ということは……?)

 リンクがミーナの顔を見ると、ミーナが嬉しそうに笑って言った。

「わたし、股から流血したのだ! 大人になったのだ!」

「さあ、リンク」と、キラがリンクの肩を叩いた。「よく我慢したな。予定通りキスして良いぞ」

「よ、予定通りって……」リンクは赤面してしまう。「た、単なるおまえの希望やないかっ……!」

「何っ」キラが目を丸くした。「それではおまえっ、もうミーナのファーストキス奪っていたのか!?」

「してへんわっ!」

「ああ、良かった。さあ、しろ。ありがた??く、しろ」

「し、しろったって、オイ……」

 リンクは戸惑いながら再びミーナに顔を向けた。
 ミーナが瞳を輝かせている。

(す、するべきなんやろうか…ここは……? いや、しかし……)

 リンクがいつまでも戸惑っていると、リュウが溜め息を吐いた。

「さっさとしろよ、キスくらい」

「せ、せやけどっ……」

「キスなんて挨拶代わりにしてる島だってあるんだからよ」

「せ、せやけどっ、うーん……」

「据え膳食わぬは男の恥。つーか、モテねークセに焦らしプレイすんなよ、おまえ」

「プレイ言うなっ!!」リンクは突っ込んだあと、リュウとキラに背を向けた。「わ、分かったから見るなっ……! 恥ずかしいっ……!」

「はいはい」

 と、リンクとミーナに背を向けたリュウとキラ。
 それを数秒の間確認したあと、リンクはもう少しリュウとキラから離れた。
 もう一度振り返って見ていないことを確認し、首にぶら下がっているミーナに目を落とす。
(え、ええんかな……)リンクの胸が鼓動を上げる。(ええんかな…、おれなんかで……)

 瞳を潤ませ、頬を紅潮させて、ぎゅっと瞼を閉じたミーナ。

「あ…ありがと……」

 リンクは小さく呟いてから、ミーナの唇にそっとキスした。

 キスしていたのは数秒間。
  リンクが唇を放すと、ミーナが嬉しそうに笑った。

「うっわーいっ♪」ぎゅっとリンクの首にしがみ付いて、ミーナがはしゃぐ。「見てたか、リュウ、キラ?」

「ばっちり」

 と、リュウとキラ。

「んなっ……!?」リンクは顔を真っ赤にして振り返った。「みっ、見てたんかい!!」

 ミーナがリンクの首から降り、ぴょんぴょんと跳ねてキラに抱きつく。

「キラっ、キラっ、わたし少し大人になった気分だぞっ!」

「ああ、そうだな。ファーストキスは甘かったか?」

「昼に食ったカレー味!」

「辛いな」

「うむ!」

 はしゃいでいるミーナの傍ら、リンクは口をぱくぱくとしてリュウを見ている。

「なっ、なっ、何見てっ……!!?」

 首まで赤く染まったリンクを見て、リュウがにやりと笑った。
 そして言う。

「良かったな、リンク。めでたいぜ」

「え? あ、ああ。あ……ありが――」

「ロリコンデビュー」

 と、短く嘲笑したリュウ。

 屋敷中に、リンクの絶叫が響き渡って行った。

「ちゃっ、ちゃうんです読者様あああああああああああっ!!」
 
 
 
 
本館『NYAN☆PUNCH!』

第3話 ミーナの日記 1/2



 ――寝る前、ミーナは日記帳を開いた。
 
 
 ××年6月○○日

 今日は、新しくできたキラとリュウの家にあそびに行った。
 おどろくほど大きかった。

 初めてマタからりゅう血して、うれしかった。
 リンクと初めてキスした。
 カレー味だった。
 少し大人になった。

 夜ごはんは、キラがせきはんを作ってくれた。
 うまかったぞー。
 
 
 ××年9月○○日

 わたしは14才になった。
 また少し大人になった。

  さい近、わたしはかみの毛をのばしている。
 キラと同じくらまでのばすのだ!
 キラと同じように、女っぽくなるのだ!
 
 
 ××年11月○○日

 キラとリュウに、女が生まれた!
 ミラが生まれた!
 シュウが生まれるときもそうだったけれど、5ヶ月でハラからでてくるハーフの子どもに、リンクはまたおどろいていた。

 わたしも早くリンクとの子どもがほしいぞ。
 ひとりでコウノトリをよんでみたけど、きてくれなかった。
 
 
 ××年3月○○日

 今日は、キラと買い物に行った。
 ブラジャーがきついと思ったら、Bカップになっていた。
 いつかキラみたいにFカップになれるかなあ?
 
 
 ××年6月○○日

 リュウとキラに、また女が生まれた!
 名前はサラと名づけられた。
 やっぱり女はかわいいぞー。

 ひとりでコウノトリをよんだせいか、やっぱりコウノトリはこなかった。
 リンクはまだ、一緒にコウノトリをよんでくれない。
 どうやらわたしは、まだまだ子供らしい。
 
 
 ××年9月○○日

 わたしは15才になった。
 また少し大人になった。

 かみの毛の長さも、キラに近づいてきた。
 身長は、気付いたらキラと同じになっていた。
 うれしかった。
 
 
 ××年12月○○日

 今日はクリスマス・イブだった。
 リンクとデートした。
 キラがリンクに電話で「ニャンニャンはまだだぞ」と言っていた。
 ニャンニャンってニャンだろう?

 今日のキスは、いつもより少しだけ長かった。
 なんだか、すごくドキドキとした。
 
 
 ××年2月○○日

 リュウとキラに、今度は双子の女が生まれた!
 姉の方がリンで、妹の方がランと名づけられた。
 女ばかり生まれて、わたしはうらやましい限りだぞ。

 まだひとりでコウノトリを呼んでいるわたしには、まだ子供がいない。
 早くほしいのに、リンクは一緒にコウノトリを呼んでくれない。
 わたしはまだ、子供らしい。
 
 
 ××年8月○○日

 今日は、リンク25才の誕生日だった。
 いつもそうだけれど、キラとリュウ、それからグレル師匠とレオンで祝った。
 それから、キラとリュウの子供たちも一緒に祝ってくれた。

 グレル師匠がリンクにプレゼントした『いくもうざい』って、何なのだろう。
 リンクが「おれはふさふさや!」ってえらく怒っていた。

 ようやくリンクが、20歳くらいの男に見えるようになった。
 わたしの主は、やっぱりガキっぽい。
 でも、その笑顔は悪くない。
 
 
 ××年9月○○日

 わたしは16才になった。
 髪の毛が、腰まで伸びた。
 やっとキラと同じ長さになった。
 キラに「女っぽくなった」と言われて嬉しかった。

 キラにお化粧道具一式をプレゼントしてもらって、キラにお化粧をしてもらった。
 舞踏会へ行くとき以外でするのは初めてで、なんだかちょっと恥ずかしかった。
 でもそのあとリンクにも「女っぽくなった」って言われて、とても嬉しかった。

 それから、キラがリンクに『ニャンニャンまであと1年の辛抱だ!』と言っていた。
 だから、ニャンニャンって?
 
 
 ××年12月○○日

 今日は、キラとリュウの誕生日パーティーだった。
 キラ24才でリュウ25才。
 モンスターのキラがそれ以上見た目が変わらないのは分かっているけど、どうして人間のリュウまで老けないのだろう?

 その理由をリンクが、「もともと老け顔のせい」だと言っていた。
 なるほど納得だ。
 なんというか、見た目の年齢にようやくリュウの実際の年齢が近づいてきたぞ。

 でも物すごくキラとつり合うリュウは、やっぱりリンクよりずっと良い男だぞ。
 そう思ったのは秘密だぞ。
 
 
 ××年4月○○日

 すごいぞ、わたし!
 Cカップだぞ!
 これでリンクなんぞイチコロだぞ!
 イチコロって何ぞよ!

 これでリンクの挟めるか!?
 挟めるのか!?
 というか挟むって何をだ!?
 誰も教えてくれないぞ!
 
 
 ××年7月○○日

 リンクが超一流ハンターになった。
 いつもリュウと並んでいるから弱く見えるけど、本当は強いのだと知った。
 ちょっとかっこいいぞ、リンク。

 リュウはもともとの超一流ハンターと、それから葉月島ギルドの副ギルド長になった。
 仕事1つ1つの報酬額が、さらに上がったらしい。
 本当、金持ちだな。

 あと、葉月島でペットとなっているモンスターがハンターの資格を取れるようになった。
 リンクとリュウのすすめで、18才のレオンがハンターになった。
 ミックスキャットのレオンは、やっぱり最初から超一流ハンターだった。
 それから背もぐんと伸びて、175センチらしいリンクよりも大きい。
 最近のレオンはやたらとモテる。
 
 
 ××年9月○○日

 わたしは17歳になった。
 毎年のごとくリュウ一家のお屋敷でパーティーを開いてもらった。
 パーティーのあと、キラがリンクに「よく我慢したな! ニャンニャンして良いぞ!」と言った。
 そのあとリンクとわたしは、客間の中に放り投げられた。

 ベッドの上で正座して向き合って、わたしは顔を真っ赤にしているリンクに聞いた。
 ニャンニャンって何なのかと。
 リンクは少しの間、返答に困ったあと「つまりリュウとキラが毎晩やっている夜の行為」と答えた。

 わたしは大喜びした。
 わたし、やっと大人になったのだ!

 というわけで、わたしは窓を開けてリンクと一緒に叫んだ。

 コウノトリさあああああああああん!!って。

 リンクはえらく恥ずかしそうだったけど、わたしはとても嬉しかった。
 コウノトリは忙しいらしく来なかったけど、それでも嬉しかった。
 やっとリンクが、わたしと大人の行為をしてくれたから。
 わたし、リンクにとってやっと大人になったのだ!

 そういえばコウノトリを叫んだあと、リュウの大笑いが聞こえてきたのは何でだろう?
 わたしがリュウの大笑いを聞くのはこれでやっと2度目のことだぞ。
 そんなに面白いことがあったのかなあ?
 
 

第3話 ミーナの日記 2/2

 
 ××年1月○○日

 わたしは最近、悩みがある。
 リンクが本当にたまにしか一緒に大人の行為をしてくれないのだ。
 一緒にコウノトリを呼んでくれないのだ。

 おかげで、ほら。
 まだわたしには子供がいないぞ。
 
 
 ××年4月○○日

 ああ、うらやましい。
 リュウとキラに、また女が産まれたぞ。
 しかも今度は三つ子だぞ。
 名前は上から、ユナ、マナ、レナ。
 何だかもう、名前を覚えるのが大変になってきたぞ。

 わたしも早く子供がほしいぞ。
 
 
 ××年9月○○日

 わたしは18才になった。
 身長はもう伸びないらしく、キラと同じのまま変わらない。
 髪の毛はちゃんとキラと同じ長さ。

 まだ子供ができない。
 リュウとキラは毎晩コウノトリを呼んで子作りしているのに、どうしてリンクはわたしとたまにしかしてくれないのだろう。
 キラにあって、わたしにないものでもあるのだろうか。

 キラにあって、わたしにないもの?
 まさか。

 乳か!?
 そうか、Cカップじゃダメなのだ!
 
 
 ××年1月○○日

 誰か助けてくれ。
 Cカップから成長しないぞ。
 キラが揉むとでかくなるらしいって言ってたから、ここ3ヶ月揉み続けているのに何故だ。
 リュウがリンクに揉んでもらうと効果的だと言っていたからリンクに頼んだけど、リンクはダメだと言って揉んでくれないぞ。

 このままではリンクが毎晩子作りに励んでくれないぞ。
 どうすれば良いのだ、わたし。


 ××年5月○○日

 最近になって気付いた。
 夜になっても、コウノトリを呼んでいる人を見たことがないぞ。
 どうしてだろう?
 わたしはこんなにも、子供がほしいというのに。
 まあ良いか、世間のことは。
 
 
 ××年9月○○日

 わたしは19才になった。
 そして今までで一番嬉しいプレゼントを、リンクからもらった。

 ちょっと早いけどって、リンクがわたしに渡したものはエンゲージリングだった。
 プロポーズは「来年おまえが20歳になったら、約束の結婚しような」って、優しい声で言ってくれた。
 嬉しくて泣いてしまった。
 わたしは来年、リンクのお嫁さんになれるのだ。

 って、そうか!
 コウノトリはわたしとリンクが婚約してなかったから来なかったのだ!
 キラの腹にコウノトリが赤ちゃんを持ってきてくれたのも、リュウと婚約してからだったしな!
 そうか!
 そうなのだ!
 そうだったのだ!
 
 
 ××年11月○○日

 呼べばせっかくコウノトリが来るというのに。
 リンクは相変わらず、たまにしか一緒に呼んでくれない。

 何でだろう。
 やっぱ乳かな。
 凹むぞ。
 
 
 ××年1月○○日

 とても遠い島にいるリンクの親戚が、リンクから婚約したと聞いて訪ねて来た。
 リンクはしばらく会っていなかったらしいが、わたしは初めて会った。

 はっきり言ってすごかったぞ。
 みーんなリンク口調で、あそこまで一杯いると何を喋っているのか分からなかったぞ。
 リンクいわく、えらく気に入られたわたしは親戚一同に揉みくちゃにされたぞ。

 3日間葉月島にいると思うと、ちょっと疲れるのは秘密だぞ。
 
 
 ××年5月○○日

 コウノトリ来ないぞ。
 たまにしかリンクと一緒に呼んでいなくても、全部合わせれば結構な回数で呼んでいるはずなのに。
 何故だろう。

 コウノトリ、わたしには子供をくれないのかな。
 悲しくなってきたぞ。
 
 
 ××年8月○○日

 リンクが29才になった。
 相変わらず童顔だ。

 そしてわたしは来月で20才になる。
 リンクと結婚する。
 それなのに、まだコウノトリは来てくれない。

 悲しくなって泣き出したわたしに、リンクは「結婚式の夜に、全てを教えるから」と言った。
 とりあえず泣き止んだわたしだったけど、それはどういうことなのだろう?

 全てって?
 どういうことなのだ?
 
 
 ××年9月○○日

 わたしは、明日で20才になる。

 7年前に、キラとリュウが結婚式を挙げた教会。
 あそこでわたしは、7年前にキラが着たウェディングドレスと同じデザインのドレスを着て、リンクと結婚する。
 わたしは、リンクのお嫁さんになるのだ。

 どきどきして、今夜は10秒もの間眠れなさそうだ。
 
 
 ――ミーナは手に持っていたペンを置き、日記帳を閉じた。

 振り返ると、もうベッドに入っているリンクが訊いた。

「今日の日記、書き終わったん?」

「うむ」

「ほな、おいでや」

 そう言って、リンクが薄い布団をめくってミーナを腕に誘う。
 ミーナは部屋の電気を消すと、リンクの腕の中に寝転がった。
 抱き合って、どちらかともなくオヤスミのキスをする。
 唇を離して、リンクはミーナの長い髪に指を通して言う。

「髪、伸びたな。ほんま、すっかり女っぽくなったな。最近、化粧も少しするしな」

「そうだろう、そうだろう」

 自慢げにいうミーナ。
 リンクが笑った。

「まあ、中身は子供のまんまやけどな」

「にゃ、にゃにおう――」

「明日」リンクがミーナの言葉を遮った。「明日の結婚式のあと、ほんまに大丈夫か?」

「? 何がだ。結婚式の夜に、全てを教えるって言ったことか?」

「ああ。それがどんなことでも、大丈夫か?」

 ミーナは眉を寄せた。
 暗闇の中、リンクが真剣な顔で訊く。

「ミーナ、ほんまにおれとの子供がほしいんやな?」

「あっ、当たり前ではないかっ!」

「……分かった。ほな、どんなことされてもええ覚悟でいてや」

 と、リンクがぎゅっとミーナを抱き締めた。
 成長したとはいえ、キラと変わらない背丈のミーナはやっぱり小さい。

「ど、どんなこと……?」

「精一杯、優しくする……から」

 そんなリンクの言葉に、ミーナは混乱して眉を寄せる。

「う、うむ? 精一杯優しくコウノトリを呼ぼうなっ……?」

「……」

 リンクは苦笑したあと、もう一度ミーナの唇にキスして目を閉じた。

「おやすみ、ミーナ」

「おやすみ、リンク」そう返したあと、ミーナはまた口を開いた。「……なあ、リンク?」

「ん?」

「リンクは、わたしに言わないのか?」

「何を?」

「リュウがたまーーーにキラに言うらしい、あの台詞だ」

 と言いながら、ミーナが欠伸をする。

「う……」リンクの顔が熱くなる。「…い…言った方がええかっ……?」

「好き、とは言われているけど、ソレは聞いたことがないからな」

「……わ、分かった」

 リンクは咳払いした。
 言う覚悟をするまで数秒かかり、そのあと耳まで真っ赤にして言った。

「あ……愛してるで、ミーナ」

 よし、言えた!
 言えたで、おれ!

 心の中でガッツポーズをしながら、ミーナの反応を待ったリンク。

「……」

「……ミーナ?」

「……」

「……おい?」

「……」

「……え?」

 眉を寄せ、リンクはミーナの顔を覗き込んだ。
 暗闇になれて、ミーナの顔が見える。

 そう、寝顔が。

「ねっ、寝たんかいっ!!」

「…みぃ……」

 すっかり瞼を閉じているミーナが、リンクの胸にしがみ付く。

「ま、まったく、もうっ……! 二度と言ってやらへんからなっ……!」

 呆れながら、再び瞼を閉じたリンク。
 寝言のような口調で、ミーナが言う。

「…わたしも愛してるのら、リンク……。愛してるのらー……」

「……お、おう」

 と、少し頬を染めながら返事をしたリンク。
 そのあと夢に入っていったミーナの白猫の耳にキスして、どきどきとしながら微笑んだ。

(この白猫のミーナは、明日、この世で一番可愛いおれのお嫁さんになる)

 そして、

(ついにコウノトリがいないことを知る……)

 明日の夜が楽しみのような、怖いような……。
 リンクは苦笑したあと、ミーナを追って夢の中に入っていった。
 
 
 
 
本館『NYAN☆PUNCH!』

最終話 ミーナの結婚とその後 1/2



 ――7年前、キラが立っていた場所。

 キラが着ていたウェディングドレスと同じデザインのものを身にまとい、ミーナはブーケを持って頬を紅潮させて微笑んでいる。

 ミーナ20歳の誕生日である本日、ミーナはリンクのお嫁さんとなった。

 主役は変わったものの、7年前と同じメンバーが顔をそろえている。
 主役のリンクとミーナに、リュウとキラ、グレルとレオン、葉月ギルド長と王子。
 加えて、リュウとキラの子供たち一男七女。

「ああ……」リンクの瞳が恍惚とする。「かわええで、ミーナ。この世1かわええ……」

「ああ……」王子の瞳が恍惚とする。「何と愛らしい花嫁だ。私のものにしてしまいたい……。リンクには勿体ないな」

「ほ、放っておいてくださいっ。だ、大体っ、今日お妃様がいないからって、そういうこと言ってると怒られますよ!?」

「言ったら無人島へ流罪にするからな、リンク」

「んな殺生なっ……!」

 リンクと王子の傍ら、レオンが言う。

「本当、とっても綺麗だよミーナ。あのときのキラみたいだ」

「うんうん」と、グレルが続く。「すっかり大人になってなあ、おじちゃんは嬉しいぜ……!」

「ああ……、たしかにあのときのキラを思い出すぜ」と、リュウ。「あのときのキラは、本当まじ超半端ねー綺麗さだったぜ……!」

 そう言ってリュウが瞳を輝かせて見るのは、本日の主役ミーナではなく、脇役のキラである。
 そのキラが、涙ぐみながら微笑んで言う。

「大人になったな、ミーナ。とても綺麗だぞ」

「ほ、本当かっ?」ミーナが声を高くした。「本当にっ、本当に綺麗かっ? わたし、綺麗かっ? キラっ?」

「ああ。本当に、とても綺麗だぞ」

 ミーナの顔に満面の笑みがこぼれる。
 リンクに褒められるのはもちろん嬉しい。
 でも、本当の姉のように慕っているキラに褒められるのも、とてつもなく嬉しくて。

「ミーナ姉、きれいー」

 リュウとキラの子供たちに囲まれるミーナ。

 リュウと並び、キラが言う。

「なあ、リュウ? ミーナ、本当に綺麗になったな」

「ああ、綺麗だな(あのときのおまえが)」

 相変わらずリュウの視線はキラから離れない。

(あ……、なんかあのときのキラを思い出したら急に……)

 キラのときに続き、今回も牧師役の葉月ギルド長が祭壇にあがる。

「さて、そろそろ挙式しようか」

 皆が指定位置に着いた。
 子供たちを前の方に並ばせたリュウ。
 キラと共に、その後ろに並ぶ。

 葉月ギルド長が挙式を始める。

「汝リンクは…(中略)…誓いますか?」

「誓うで!」

「汝ミーナは…(中略)…誓いますか?」

「誓うのだ!」

 葉月ギルド長が咳払いをし、

「では、誓いのキスを」

 リンクがミーナのベールをめくり、瞳を閉じて待つミーナにそっと口付けた。
 微笑ましく拍手が漏れる。

「見てたかっ、キラっ?」と、くるりとキラの立っていた位置に顔を向けたミーナ。「――って、あれ?」

 ぱちぱちと瞬きをする。

「い、いないぞ! リュウもいないぞ!」

「あ、あれぇ!?」リンクは教会の中をきょろきょろと見渡した。「挙式の途中にどこ行ったんや、あいつらっ……!?」

「探そうぞ、リンク!」

 急遽、そういうことになった。
 王子とリュウ・キラの子供たちを残し、リンクとミーナ、グレル、レオン、葉月ギルド長は手分けしてリュウとキラを探し回る。

 ドレスの裾を持ち上げ、教会の裏へと回って行ったミーナ。

 キラの声が聞こえてきた。

「ちょ、ちょっと、リュウ! こ、こんなところで何を考えているのだっ……!」

 続いて、リュウの声が聞こえてくる。

「ミーナ見てたら7年前のおまえ思い出して、つい興奮しちまった俺がいる」

「だ、だからってこんな神聖な場所でっ……!」

「神聖な場所で神聖に子作りしようぜ(謎)」

 そんなリュウとキラの会話を聞いて、ミーナの白猫の耳がぴくんと反応した。

(おおっ、子作り! リュウとキラは、これから子作りをするのか! コウノトリを呼ぶのか!)

 そろりそろりと足音を立てないように壁際を歩いていく。

(もしかしたら、呼び方の手本になるかもしれぬっ…!)

 と、角までやってきて顔を半分出して覗いたミーナ。

「……?」

 首を傾げた。

 なんだ?
 何をしている?
 コウノトリを呼ぶのではないのかっ?
 リュウは何故キラの服を剥ぎ取って……?

 おおーっ、やっぱりキラは乳でかいぞー。
 羨ましいぞー。

 っていうか……、何?

 なんだ?
 何をしているのだ?
 コウノトリを呼ぶのにそんなことをするのか……!?

 な……、何だ!?
 ちょ、リュウ、何して……!?
 み、見ていて何だか物すごーく恥ずかしいぞ!?

 ……え!?
 ちょ、ちょっと待ってくれ!
 何アレ!?
 リュウ、何ソレ!?

 ソレを一体どうす――

 え!?
 ちょ、ちょちょちょちょちょ!?
 ええ!?
 えええぇぇぇーーーー!?

 なっ、何をしているのだアレはあああああああああああっ!!

 パニック寸前のミーナ。

 そこへリンクがやってきて、首をかしげた。

「どうしたん、ミーナ? リュウとキラは――」

 まで言って、リンクは教会の裏にいるリュウとキラに気付いた。
 瞬時にミーナの目を塞ぎ、顔を真っ赤にして声をあげる。

「なっ、なにしてんねん、おまえらああああああああああ!!」

「――!?」

 驚倒して振り返ったキラ。
 ミーナの姿を見て、見る見るうちに顔が赤くなっていく。

「ミ、ミーナ!? ちょ、ちょ、待っ……! み……、見てたのか!?」

 恥ずかしさと動揺でキラの声が裏返る。

 リンクに目を塞がれているミーナが、困惑したように口を開いた。

「キ、キラっ? さっきのは一体なんだっ……!?」

「何って、子作りだよ」

 と、答えたのは何ら慌てた様子のないリュウである。
 ミーナがさらに困惑して声をあげる。

「こ、子作りっ? さ、さっきのがかっ? 子作りは男女が一緒にコウノトリを呼ぶのではないのかっ!?」

「まだ教えてなかったのかよ、リンク……」そう言って溜め息を吐いたあと、リュウは続けた。「あのなあ、ミーナ。コウノトリなんてのは存在しねーの。これが正しい子作りなの」
「えっ……!?」

「分かったらあっち行ってくんねえ? 途中なんだけど」

「ミ、ミーナ来いっ……!」

 リンクはミーナを抱きかかえ、慌ててその場を後にした。
 まさかこんな形でミーナが現実を知ろうとは……。

最終話 ミーナの結婚とその後 2/2


 教会の出入り口のところ、ミーナが口を開く。

「リ、リンク。降ろしてくれっ……」

「お、おう」

 リンクの腕から降ろされると、ミーナはリンクの顔を見上げた。
 相変わらず困惑した様子で、ミーナが訊く。

「ど、どういうことなのだ? コ、コウノトリはいないのかっ?」

「…あ…ああ。おらん……」

「……わ、わたしを騙していたのかっ?」

「ちゃ、ちゃうで! それはちゃう! 騙すつもりで言ったんやないっ……!!」

 必死に否定するリンクの顔を見て、ミーナは安堵した。

「そ、そうか。リンクがそういうのならば、そうなのだな。だ……だけど」と、ミーナの顔が赤く染まっていく。「子作りって、ほ、本当の子作りって、あ、あんなっ……ああああんなことをするのかっ!? リュ、リュウとキラは、ま、毎晩、あ、あんなことをしているのかっ……!?」

「お、お、おう……」リンクの顔まで赤くなってしまう。「せっ、せやけどっ、おれリュウよりずっと優しいで!? あいつは激しすぎんねんっ……!」

「そ、そうか。で、でででも、あれなのだなっ? あ、あああれが大人の行為なのだなっ……? こ、今夜リンクはっ、あ、あれをわたしに教えるつもりだったのだなっ……!?」

「お、おおおおう」

「…っ……!!」

 ミーナが首まで赤く染め、リンクに背を向けた。

 リンクは狼狽する。

(ああもうっ! どうしてくれんねんっ、リュウの奴! おれが優しく教える前に、怯えてしまったやないかいっ……!!)

 大変だ。
 ミーナを宥めなければ。

 リンクがミーナの肩に触れると、ミーナが小さく飛び跳ねた。

「みゃっ!」

「ご、ごめんっ……」リンクは慌ててミーナから手を離す。「その…、ミーナ? そんなに怯えないでやっ……」

「……」

「お、おれ…、おまえが嫌やっちゅーなら、まだ何もせえへんからっ……」

「えっ……?」

 ミーナが慌てたように振り返った。
 ミーナのグリーンの瞳が、じっとリンクの顔を見つめて潤む。

 ミーナのこの反応。
 リンクの胸が動悸をあげる。

「ミ、ミーナっ……?」

「…リ、リンクっ…、わ…、わたし……」

「う、うん…?」

「…こ…、子供がほしいのだっ…リンクとの子供がっ……。それにっ…さっきは驚いたけどっ…、でもっ…でもっ……」

「…ミ、ミーナ……?」

「お願いリンクっ、今夜は男らしくわたしを抱いてっ(ハート)」

 と言ったのは、戻ってきたグレルである。

「気色悪いわっ!!」
 
 
 
 その晩。
 結婚初夜。

 リンク・ミーナ夫妻は、リュウ一家の屋敷にいた。
 新婚旅行に行かず何故ここなのかというと、ミーナの希望だった。

 今日の昼に知った本当の子作り。
 リュウとキラのを見たとき、面食らってしまった。
 まさかああいうことをするのが、子作りだったとは知らなくて。

 あれが自分とリンクだったらって考えると恥ずかしかった。
 でも、嫌ではなかった。
 これで待ち望んだ子供がやっと出来るのだし、むしろとても嬉しい。

 だけど、やっぱり少し怖い。

 よって、深く信頼する姉のようなキラがいるここへとやってきた。
 キラが傍にいるだけで、ミーナは安心できるから。

 電気を消した客間の中、シャワーを浴び終わって緊張した様子のミーナがベッドに腰掛けている。
 リンクが交代してシャワーに向かうと、キラがミーナのところへとやってきた。

「キラっ……」

「大丈夫か、ミーナ」

 ミーナはキラにしがみ付き、狼狽した様子で訊く。

「こ、子作りって、ど、どんな感じがするのだっ? い、痛くないのかっ? 怖くないかっ?」

「大丈夫だ、ミーナ。きっとリンクはとても優しくしてくれるぞ。たしかに初めてのとき、女の方は苦痛を伴うが……。そりゃもう、私がリュウに初めて抱かれたときは痛くて痛くて、いっっっったくて――」

「そ、そんなに痛いのか!?」

「いや、でも、私の場合はリュウが相手だからであってな。ミーナは私のときほど痛みを伴わないと思うぞ」

「そ、そうかっ……」

「それに、愛する男が相手ならば痛みなど堪えられるというものだ。ミーナよ、愛するものと結ばれたとき、とても嬉しいものだぞ?」

「結ばれ…る……?」

「ああ。今夜ミーナは、リンクと結ばれるのだ。そしてきっと、近いうちに可愛い子供を授かるぞ。……なあに、大丈夫だ」そう言って、キラがミーナを抱き締める。「大丈夫だ、ミーナ。私はすぐ近くにいる。いざとなったら私を呼べ」

 ミーナがキラの腕の中で頷くと、キラがミーナの額にキスして客間から出て行った。

 それから少しして、客間に備え付けのバスルームからリンクが出てきた。

(ついさっきまで、キラの声が聞こえたような……?)

 と、リンクは客間のドアを開け、顔を出して廊下をきょろきょろと見渡す。

(よし、覗いてないな)

 リンクはドアを閉め、念のために鍵もかけた。
 ベッドに腰掛けて、俯いているミーナのところへと歩いていく。

「ミーナ……?」ミーナの前、リンクは膝を付いてミーナの顔を覗き込んだ。「どうした……? 怖いか?」

 ミーナが首を横に振り、リンクの首にしがみ付いた。
 リンクが訊く。

「……ええんやな?」

 少し間を置いたあと、ミーナが頷いた。

 「あ…ありがと……」

 そう言ったリンク。

 ミーナがリンクの顔を見ると、リンクの唇が重なってきた。
 抱き締められてベッドの上に倒されて、恥じらいと動揺でグリーンの瞳が揺れ動く。

 ミーナの身体に巻かれていたタオルを取ったリンク。

「う……」

 鼻血を吹きそうなる。

 一方のミーナは戸惑った。

「えっ? な、なんだリンクっ……? Cカップじゃダメかっ……!?」

「ち、ちが……。い、いつの間にかずいぶんと成長してたもんやから……」

「そ、そうかっ……。乳はこれくらいでも良いのかっ……」

「お、おう。じゅ、充分ですっ……! ほ、ほな、え、えと……」

「う、うむ?」

「こ、こここ、子作り開始してもええですかっ……!?」

「ど、どどど、どうぞだぞっ……!」

「い、いいい、いただきます……!!」

「た、たたた、たーんとお食べ……!?」
 
 
 
 ――10分後。

「えっ…あっ……!」

 ミーナが苦痛に顔を歪めた。
 溜まらずといったように声を上げる。

「いたっ……痛いっ! 痛い痛い痛い――」

「え!? わ、わかった! ほな――」

「ふみゃあああああん!! 痛いのだあああああ!!」

 リンクの声を遮って泣き出したミーナ。

 呼んじゃいまーーす☆

「キラァァァァァァァァァァァァァ!!」

 次の瞬間。

 ガシャーーーーーン!!

「ミーナァァァァァァァァァァァァ!!」

 窓ガラス突き破ってキラ登場。

「どわああああああああああっ!!」

 仰天して飛び上がり、ベッドに尻を付いたリンク。

 キラがミーナに駆け寄る。

「大丈夫かミーナ!?」

「いっ、痛いのだあああっ」

「きっ、貴様! リンク!!」キラがリンクの顔を見て牙を向いた。「ミーナが泣くほど痛がらせるとはどういう――……ん?」

 と、キラが目を落としたのはリンクの股間。
 ぱちぱちと瞬きをしたあと、笑って言う。

「なーんだ、ミーナ。その程度、我慢してやらなければダメだぞ♪」

「――グハァッ!!」

 リンク、キラの言葉に大衝撃。
 ベッドの上にうずくまる。

 キラが笑いながらドアへと向かっていく。

「それじゃ、がんばるのだぞ、ミーナ♪ リンクもな♪」

 と、客間から出て行ったキラ。

 ミーナが声を高くして言う。

「よ、よし! がんばるぞ、わたし!」

「……」

「さあ、リンク、続けて良いぞ!」

「……」

「ん? どうしたリンク? ピクピクしてないで、早く続けてくれ」

「……」

「なあ、リンク? わたし女の子供がほしいのだが?」

「……」

「おい、リンク? 聞いているのか?」

「……」

「なあなあ、リンクってばあ。こーづーくーりーはーーっ?」

 リンクが待ちに待った結婚初夜。

 そう、一体何年待ったか。
 この日をどれだけ待ったか。

 キラのさりげない一撃により、大ダメージを食らい重傷を負ったリンク。
 ミーナと初めてのドキドキ子作りは、中途半端なところで虚しく終了した。
 
 
 
 ――ミーナは日記帳を開いた。


 ××年1月○○日

 結婚してから約半年。
 初夜はどうなるかと思った子作りだったけど、あれから一週間してようやく復活したリンクがしてくれた。

 感想としては、やっぱり痛かった。
 でもリンクと結ばれたと思うと、とてつもなく嬉しかった。

 そしてわたしは無事に子供を授かり、そして今日その子を産んだ。
 わたしにそっくりな、白猫の耳が生えた女の子だ。

 リンクが、リーナと名づけた。

 コウノトリはいないって言われたけど、リンクというコウノトリがわたしにやって来てくれた。

 わたしは今、とっても幸せだ。

 リンクのペットになれた。
 お嫁さんになれた。

 リンクに出会えて良かった。

 わたしはこの世一の、幸せな白猫だ。
 
 
 
 
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